家政婦は見た!

ブリタニア恋愛帳

 

俳句小説

ブリタニア
恋愛帳
♪

そこは異世界だった

ブリタニア 異世界からの 招待状


 そこは異世界だった、そう表現するのがしっくりくる。

 インターネットという異世界の大地、ブリタニアへ、私は降り立ったのだ。

 どんな冒険が、出会いが、そして別れが、待っているのだろう。

 

基本操作

右を向け けれど体は 動かない


 右を向け!

 そう念じてマウスをクリックするけれど、全く動かないんだ。

 移動する方向に合わせて右クリック押しっぱなしだなんて、わからなかったよ。

 右も左もわからないことだらけ。

 わかることは、この世界が面白いことであふれているということだけだった。

 

仲間ができた

人がいた 見た目女子でも 中紳士


 ここにいるキャラクターの中に、また、誰かがいる。

 なんて素敵なんだろう。

 ちょっとかわいい女の子、話してみれば男の子。

 引いた。

 でもそんなものかなって、すぐになれた。

 

気になるあの人。いけるな

いけるなと 思った相手は ネカマなり


 話してるうちに思った。いけるなって。

 なんでそんなことを思ったのかわからないけれど、仮想現実の中で彼氏を作るのも面白そうだ、なんて思った。

 でも相手は、ネカマ君なんだ。

 

彼氏とゲーム

我が彼氏 ネトゲ廃人と 嘆きけり


 彼氏にネトゲにはまっていることがばれた。

 廃人にだけはなるなよと嘆かれた。

 ごめん、もう廃人。

 急な用事のふりをして、ブリタニアへ戻る私。

 

あの人へのアプローチ

ヤバいよね 彼より好きな 乙女君


 ヤバいと思った。

 私、恋してる。

 名前も知らない、性別も知らない、女の子みたいな、この男の子に。

 彼氏をとるか、ゲームをとるか。

 こんなこと、天秤にかけるなんて。

 

恋す蝶 飛んでゆきたい 君が元


 会いたいな、君に。

 もし飛んで行けるのなら、君の元へ飛び込んで、君という花にいだかれたい。

 

粉雪

ひとひらの 雪が落ちては 消えてゆく


 雪が降ったある日。

 君はこつぜんと姿を消したね。

 降っては消えさってゆく、雪のように。

 私たちの思い出とともに、君は消え去ってしまった。

 

彼氏との結婚

終わりだね 遊びのような 恋愛も


 彼氏と結婚することにした。

 もう、遊びのような恋愛ともおさらば。

 仮想世界からも、ちょっとは身を引こうかな。

 なんて思ったけれど、未練たらたら。

 ちょっとだけログインしてすぐやめよう。

 

あの人との再会

懐ブリや つゆと消えにし 君の声


 そこには、いずこへとも消え去ってしまった、君がいた。

 
にゃん