家政婦は見た!

君がいたね

 

俳句小説

君がいたね
季節は巡る
♪

初登校日

風になる 桜並木を 駆け抜けて


 初めての登校日、私は自転車をこいで桜並木を駆け抜けた。

 風が吹いて桜の花びらが舞った。

 私は風になり、どんな学園生活が待つのか胸を躍らせた。

 

出会い

ゼロ点の 答案空から 降ってきた


 初めての中間テストを終え、開放感に浸っていると、答案用紙が空から降ってきた。

 拾うと、ゼロ点。

 振り返れば、そこに君がいた。

 ただのバカだと思って答案用紙を返したら、実は百点だった。

 君は昔からずるいよ。

 

恋心

嫌いだよ ののしるほどに 好きだバカ


 君とケンカしたある日。

 嫌いだと、ののしってののしって、ののしった。

 けれどののしったって、君なら、許してくれる。私を包み込んでくれる。

 そう思っていたんだ。

 なんでそんなに君を好きだっていうのに、気づいてくれないんだ。

 好きだバカ!

 

初デート

君を待つ 秋雨唄う ラブソング


 はじめて君と二人でお出かけした日。

 秋雨が降っていたね。

 私は傘をさして駅前で君を待った。

 傘を打つ秋雨が、ラブソングを歌っていたよ。

 私の鼓動と一緒に。

 

成就

初雪を 君とみそめた あかつきに


 君と一緒に見た初雪。

 私たちはみそめあったね。

 あかつきに照らされた君の寝顔を、私はそっとなでた。

 

別れ

忘れない 雪と消えにし 我が想い


 雪解けの季節。

 君は私の前から消え去ってしまった。

 いつだって君がいた教室に入ってみた。

「おはよう」

 そこに君の姿はなかったね。

 忘れはしない、君への思いを。

 

再会

振り向けば 雪と消えにし 君がいた


 それから月日が流れた。

 仕事帰り、かじかんだ手を揉んでいた。

 風が吹き、私のマフラーが飛んだ。

「おはよう」

 振り向けば、そこに君がいた。

 忘れられない、思い出と一緒に。

 
にゃん